仕事は、誰もが最初は未経験から始まります。その中で、「マネジメント」に関する仕事はセカンドキャリアという位置づけで経験する人が多いかと思います。ファーストキャリアであるプレイヤーとの違いに戸惑ったり、他者に伝えることの難しさや自分でやった方が早いともどかしさを感じたり、考える時間がなくなり追い込まれていく感覚を経験したりする人は多いのではないでしょうか。しかし、だからこそ、それまでとは違う景色が見え、新たな可能性に繋がるともいえます。
プレイヤーからマネージャーに移行する上で起こる現象やその対処方法、そして自分の状態を保つ意義や方法について知っていれば、その不安や戸惑いは最小限になっていき目指す方向に進んでいくことができます。
本記事では、一般社団法人りぷらす(本社:宮城県石巻市、代表理事 橋本大吾)で、2021年11月から約7ヶ月間かけて行われた「マネージャー育成研修」の様子や企画者の思い、また、取材を通して感じた実際の新人マネージャー2名の変化についてご紹介します。
(取材・文:河村由実子/一般社団法人りぷらす)
事業概要
【マネージャー育成研修】
日程:2021年11月21日〜2022年5月11日
開催方法:オンライン
内容:
1) 管理とマネジメントの違い
2) プレイヤーとマネージャーの違い
3) 人材育成について
4) 意思決定について
5) セルフマネジメント
6) 経営の全体像
参加者:※敬称略
・首藤亜衣(スタジオぷらす石巻店・管理者)
・三浦智子(スタジオぷらす登米店・管理者)
講師:※敬称略
・橋本大吾(一般社団法人りぷらす 代表理事)
・本多智訓(一般社団法人りぷらす 理事)
・小山和良(作業療法士)
マネージャー育成研修に伴走して
〜参加者の変化〜
本記事の書き手である河村は、約8ヶ月間、新人マネジャーである首藤さんと三浦さんに伴走させていただき、研修中および研修終了後に全3回のインタビューを行いました。その前後で感じられた変化を4つのポイントにしぼりお伝えします。
◆ 自信が、覚悟へ
「就任して当初は管理者という名ばかりで自信はなかったけど、今は少しずつ管理者として歩いている自覚が持てるようになった」「管理者として歩む覚悟ができた」というコメントもいただきました。発信することを恐れずに、メンバーと積極的にキャッチボールをしようと心がけている姿勢からは大きな変化を感じます。
◆ 自分の殻を破り、苦手を克服!
半年以上の時間をかけながら少しずつ経験を積み重ねることで、今では自身のメッセージを添えて発言できるようになったとのことです。自分の苦手なことに対して前向きに取り組むことはなかなか簡単にできることではありません。そういった向き合う勇気や覚悟は、研修や現場での活動を通して徐々に養われたものだと感じます。
◆ セルフマネジメントで感情との付き合い方を学ぶ
研修前、お2人から「自分の感情とどう付き合うのか」についてしっかりと学びたいという声がありました。セルフマネジメントの講義の後、「自分の機嫌を上手にとれるようになった」「嫌だと思っている状況や人は自分が作り上げているものだということを学んだ」「変わるのは自分しかいない」「怒りの感情のコントロールができるようになった」とコメントがありました。実際の現場にも活かせる多くの学びがあったようです。
怒りの感情を感じた時にぐっとこらえて「なんでその行動をとったのか」を考えられるようになったり、相手が自分で答えを見つけられるような関わりに変えたことで、お互いの成長に繋がったりしたと実感していました。自分自身の考え方や選択肢の幅が広がり「モヤモヤがちょっと減った気がする」というコメントも聞かれました。
◆ マネージャー同士の支え合い
約8ヶ月間伴走するなかで、マネージャー特有の悩みは実際にとても多いと感じました。他の人の意見を聞いていると、自分の中の選択肢も増え、楽になる部分は多くあったとお話されていました。管理業務の悩みなどを、月1回開催しているミーティングで打ち明け合いながら前向きに取り組めているようです。研修を経て、お互いに親睦を深めながら良い関係性で支えあえていることが伺えました。
新マネージャーの首藤さん
新マネージャーの三浦さん
参加者へのメッセージと今後の展望
最後に、研修会を企画・運営された代表理事の橋本さんと作業療法士の小山さんに、今回参加された2人のマネージャーに向けたメッセージと今後の展望について伺いました。
橋本さん:
マネジメントにおいて、すべての場面で正解となるような考えや答えはありません。しかし、人と仕事をしていく上での原理原則や、理論、多様な選択肢はあり、時代の変化と共にまた変わり続けていきます。答えがないからこそ悩み、葛藤が生まれますが、だからこそ喜びや楽しさも沢山あります。一緒に、答えのない旅を歩みながら、学び続けていきましょう。
今後は、2つの方向性で継続していきたいと考えています。1つ目は、共通の学びを持つために長期的な視野に立って、共通する書籍を毎回読みながら対話を深めていく方法。2つ目は、今やこの先1年くらいを見据え、その時期に必要な学びを深めていく方法です。多様な組織を目指すからこそ、りぷらすの存在意義や目的を定期的に考えながら、成長していく取り組みを進めていきたいと考えています。
小山さん:
日々変化する自分と現場の中では、今回のことが役に立ったり立たなかったりすることがあると思います。また、ふと今回のことを振り返ってみると助けてくれそうな知識や自分の考えが転がっているかもしれません。自分自身と向き合い、周りと共同することは簡単ではないと私は感じています。それでも、思考の整理や他の方法を知ることで選択肢が増え、周りの人との対話が広がっていくのではないかと思います。自分と周りの関わりが、さらに楽しくより豊かになりますように。
マネージャーというと一見難しそうに思えますが、『人とどう仕事をしたいか』ということだと思います。その方法についてなかなか学ぶ機会が少ない日本ですが、誰でもその素質はあるのではないかと思っています。より伝わる内容や伝える順番を今後も探っていきたいです。また、次に求められるフォローアップ体制も考えていきたいと思います。マネージャーや人とどう仕事をしたいかについて、思い悩みながら仕事をしている医療福祉職も多いかと思います。私たちのこの内容が他の場所でも役にたてるのであれば活用頂きたいです。思い悩むことや行き詰まりから、また次の明るいステージへ移ろうための研修や対話の場やコミュニティーが作れればいいなと思っています。
まとめ
以上、本記事では一般社団法人りぷらすの管理者研修の様子や関係者の思いを紹介しました。
プレイヤーからマネージャーへと立場が変わり、回りを見渡しすぎて自分が置いてけぼりになったり、いつのまにか疲れてしまうということは誰しも経験することだと思われます。
管理者が元気になれば、介護業界はもっと元気になる。私たちはそんな世界を見据え、活動を続けていきます。管理者になり悩んでいる人の少しでも支えになると幸いです。
マネージャー育成研修に関するご相談は、以下までお気軽にお問い合わせ下さい。
<一般社団法人りぷらす>
代表理事:橋本大吾
事業内容:介護事業(リハビリ特化型デイサービス:スタジオぷらす運営)、コミュニティヘルス事業、仕事と介護の両立支援事業
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