この内容は、同居介護についての記事です。
特に、同居介護のリスクの一つである、「虐待」の概要について記載してあります。
高齢者虐待は、毎日46件以上起きている
介護する家族(養護者)による、高齢者虐待の相談・通報件数と虐待判断件数は、増加しています。
H29年度は、17,078件の高齢者虐待がありました。
H29年の就業構造基本調査では、介護する人が627万人いるとの報告があります。
仮に、介護する人を虐待件数で割ると、0.27%で要介護者のおよそ370人に1人が虐待にあっています。
また、1日あたりで見ると46.7件の虐待が起きています。
虐待を受けた高齢者(被虐待高齢者)と、虐待した人の同居・別居の状況で見ると高齢者のみと同居が50.5%と最大です。次に多いのが、虐待者及び他家族と同居が36.6%です。
高齢者虐待の87.1%は、同居介護において起こっています。
次に、虐待を受けた高齢者(被虐待高齢者)からみた虐待者の続柄を見ると、最も多いのが息子で40.3%となっています。次いで、夫21.1%、娘17.4%です。
高齢者虐待の61.4%が、身近な男性(息子、夫)によって生じています。
虐待の種類では、身体的虐待、心理的虐待、ネグレクト、経済的虐待、性的虐待の順になっています。
介護している家族は追い詰められているかもしれない?
年末年始や、お盆などで家族と会う機会がある方は、これらの情報を頭の片隅に
入れて置いてください。
もし、介護を担っているご家族の方がいらっしゃるのであれば、
その方が休めるように、何ができるか一緒に考えてみてください。
虐待の原因で最も多いのは、「介護による疲れ・ストレス」です。
育児と違って、介護はいつ終わるか分からず、暗いトンネルの中にいると
感じているかもしれません。
もしかすると、同居で介護しているご家族は、別居の方に遠慮して話しにくいかも
しれません。そのまま進むと、さらに孤立感を深めるリスクもあります。
家族と会う機会を大切にするためにも、
介護についての話しを聞く機会をぜひ作ってみて下さい。
(橋本)
参考文献
1)厚労省,平成 29 年度「高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律」 に基づく対応状況等に関する調査結果より
2) 総務省統計局,平成29年就業構造基本調査