もしも、遠く離れて暮らす親に介護が必要になったら。
「できるだけそばで見守ってあげたい」
「リハビリが上手くいくよう、いつも近くでサポートしてあげたい」
などと思いながらも、仕事や子育てを理由に「遠距離介護」を決断せざるを得ない場合も少なくないでしょう。遠距離介護を選択する理由は、物理的な距離だけではありません。車を運転すれば1時間以内の場所に親が住んでいながらも、親の介護や見守りに費やす時間を作るのが難しい、優先順位をあげられない…といった理由も考えられます。
だからといって、遠距離介護が「親不孝」か?といったら、決してそうではありません。
以下に挙げる通り、遠距離介護には、メリットとデメリットの両面があるのです。
【遠距離介護】
メリット:親が住み慣れた土地を離れずに済む・主治医を変える必要がない・自分自身(子)や家族の生活環境を変えずに済む・一部の介護保険サービスを利用しやすくなる(待機リストの上位に上がる可能性がある)・同居に伴うストレスがない etc...
デメリット:(親宅と自宅を往復するための)交通費がかかる※・緊急入院などの事態に即対応できない・親の健康状態がわかりにくい(電話で話しただけでは分からない)・食事をしっかり摂っているか?部屋が片付いているか?人に会っているか?など日常生活の様子が分からないetc...
※「航空会社の介護帰省割引」を利用する方法もあります。
遠距離介護か、近距離介護か?
どちらを選択するかについては、介護が必要となる前に、ご両親・ご兄弟と一緒に話し合っておくのが理想的ですが、それぞれにメリット・デメリットがあることを知っておくだけでも、より後悔のない選択ができるはずです。
(作業療法士・中山奈保子)