りぷらすのブログ

介護領域の社会的課題の解決を目指す

“介護からの卒業”を目指した地域での支援 ー千葉絵理加さんに聞く

本日は、2020年秋からりぷらすで働かれている看護師の千葉絵理加さんにお話を伺いました。千葉さんが看護師を目指したきっかけやこれまでの歩み、また、りぷらすで働く中で印象に残っていることや自身の変化に関する話から “リハビリ特化型デイサービスで働く看護師”の魅力を探ります。

【インタビュアー_河村由実子】

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きっかけは大好きな祖父を看取った経験から

——千葉さんが看護師を目指されたきっかけや、これまでのあゆみを教えてください。
 
看護師になりたいと思ったのは、一緒に住んでいた祖父がきっかけです。祖父は呼吸器系の病気を患っており、物心ついた頃からよく病院へ通っていました。

そこでケアをしてくれた看護師さんに憧れを抱き、私も “おじいちゃんをよくしたい” という想いから看護師養成校へ進学しました。

祖父の体調は次第に悪化し、私が学校に通い始め1年が経った頃、最期の期間を自宅で過ごすことが決まりました。大好きな祖父の最期にしっかりと関わりたいという想いから1年間休学することを選び、祖父のケアにあたりました。

そして、休学からちょうど1年が経とうとした頃、自宅で最期を看取りました。その後は学業にもさらに力が入り、看取りの看護に関わりたいと思うようになりました。

最初の就職先は、看取りのできる有料老人ホームを選びました。ここには要支援1から亡くなる方までが入所しています。働く中で老人看護に興味を持つようになった私は、看取りに関わることにやりがいをもって働いていました。

その後、結婚して子どもができて、現在は5児の母として働きながら仕事に励んでいます。働き方の観点から、外来ナースも数年間経験しました。


——りぷらすで働こうと思ったきっかけはなんだったのでしょうか。

私の親世代はちょうど定年を迎える年齢なのですが、同級生と話をしていると60歳くらいを皮切りにいわゆる元気な人とそうではない人に分かれることに気が付きました。また、前の職場は整形外科もあるクリニックだったのですが、そこの待合室は患者さんたちの憩いの場的存在になっていました。

今後、医療費はどんどんと削減される中で、この方達の行き場はなくなってしまうのではないかと心配になりました。そこで、そういった方を対象としたリハビリ特化型のデイサービスを作りたいなと考えるようになります。

いろいろ調べていたら、りぷらすの代表である橋本さんの記事をたまたま見つけました。地元でありたい暮らしやその人らしさを支援するという事にとても魅力を感じました。また、『卒業できるデイサービス』というのにも惹かれました。自分自身、介護から卒業できるなど思ってもいなかったからです。

職業柄、病症を見る癖がある私にとって、その人の生活背景やありたい暮らし、ありたい姿について真剣に向き合うということは新鮮でした。実際に橋本さんの話を聞いて、ぜひここで働き学んでいきたいなと思いました。

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介護に関するイメージが激変!

——実際にりぷらすで働き始めて、印象に残っている出来事や自身の中で変化したことについて教えてください。

介護に対するイメージが変わりました。一番はじめに、デイサービスに自分で来る人を見た時はとても驚きました。「自分で車を運転して来るんだ、、!」って。一見元気な人でも、何かしらの悩みやできないこと、こうなりたい姿というのがあってここに通ってきているのだと改めて感じました。ありたい姿は、人それぞれに違うんですよね。


——働く中で大変だったことや、やりがいを感じた瞬間があれば教えてください。

リハビリ領域の看護師として働いてみて、改めてその奥深さを感じました。ありたい暮らし、ありたい姿の支援って、口で言うほど簡単ではありませんでした。

これまで、ケアすることを主の仕事内容としていたため、手を出さないということが最初は難しかったです。ついつい介助したくなってしまうので、しっかりと待つということを心がけています。また、リハビリ計画書の活動と参加の部分がうまく書けず、悩むこともありました。

一方で、利用者さんの「これができるようになった」という変化を感じられた時はとても嬉しいです。例えば、昔は使っていた杖を今は使わなくても歩けるようになったとか、草取りができるようになったとか。毎月行う体力測定でも、利用者さんの変化を数値で見ることができて、改めて「介護でよくなる」ということを実感します。

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5児の育児と仕事の両立

——5児の母として仕事と家庭を両立されている千葉さんですが、りぷらすでの働き方はいかがですか?

子どものことで気を使っていたことが軽減しました。子育て中だと、どうしても周りスタッフに急に迷惑をかけてしまうことが生じてしまうのですが、そんな時、りぷらすには家庭を大事にする文化があるためとても助かっています。

子どもが5人いても正職員で働けるって、すごくありがたいことだなと思っています。どっちかに迷惑がかかるなど、これまで仕事と育児の両立は難しいなと感じていたのですが、今は子育てにも仕事に対しても、前向きに一生懸命取り組めることができています。

 

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以上、本日は2020年秋からりぷらすで働かれている看護師の千葉絵理加さんにお話を伺いました。千葉さんの今後のさらなるご活躍を心より楽しみにしています。


【取材・文・撮影=河村由実子】

 

地域とともに“ある”とは ー理学療法士・松井遥さんに聞く

本日は、昨年6月からりぷらすで働かれている理学療法士の松井遥さんにお話を伺いました。

神奈川から熱い想いを持って石巻に来られた松井さんの素顔や地域リハビリテーションに関する取り組み、働く中での新たな発見や変化に関する話から “リハ職の地域でのあり方”のヒントを探ります。

【インタビュアー_河村由実子】

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コロナ禍における住民主体の健康づくりが意味すること

ーー2020年6月、神奈川から石巻に移住された松井さんですが、新型コロナウイルス感染症の流行最中でもあったことから多くの苦労や戸惑いもあったかと思います。この1年間を振り返ってみて、ご自身の中で変化したことや新たな発見などはありますか。

 

私は、代表の橋本さんが始められた住民主体の健康づくりに興味があり、そこに関わりたいという思いから石巻へ移住してきました。移住してちょうど5ヶ月が経過した昨年10月から、その事業の担当を本格的に任してもらうようになります。そこでの経験が、私を大きく成長させてくれました。

例えば、コロナ禍で思うように活動できていなかった地域住民の方々と関わる中で、安心して集える場というのをみんな心の底から求めていることがわかりました。コロナ禍のため感染は避ける必要があるものの、やはり人との繋がりは大切だったのです。

参加者の方からは、コロナ禍の影響で人と会う機会が減ったり散歩するにも人のいない場所を選んだり、刺激がないから笑う機会も減ったりしたという話を伺いました。今まで生き生きと活動していた人も、引きこもりとなって体力が低下したそうです。「お正月ぶりに笑ったよ」と喜ばれる方もいらっしゃいました。

感染症対策はしっかりと行った上で、リアルの場で人と集まって交流する機会を設けることは、住民にとってとても大切なことなのだと改めて実感しました。

 

—— “住民主体”の健康づくりは、どのように行われているのですか。

 

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現在はみやぎ生協さんと協働し、中高年の方を対象に ①測る(バランス力や脚力を測定) ②知る(測定結果をもとに鍛え方を知る) ③動く(実際にフィットネス感覚で楽しく筋力強化、脳トレ、筋トレ、ストレッチを実践する)といった内容の講座を2日間にわたり実施しています。

この講座の目的は、自身の健康だけでなく、地域のつながりや健康づくりの担い手【きらきら健幸サポーター】になってもらうことなので、サポーターとして自立できるように講座の内容を工夫しています。

10時から16時の講座を2日間受けるのでなかなかの過密スケジュールですが、こなしてみるとあっという間だったと言われる方が多いです。2日目が終わった後に認定証をお渡しし、サポーターとして認定します。

このような活動を通して感じるのは、住民の行動変容を起こすのは医療者ではなく、住民(対象者の周りの人)だということです。医療者として関わると、どうしても“教える・教えられる” という関係になります。この講座の受講者にも、普段は引きこもりだけど知り合いの方が声をかけてくれたから来た、という方もいらっしゃいました。地域の方々のネットワークに勝るものはないなと感じます。

さらに、この講座はここで終わりではなく始まりだということが魅力の一つです。講座を修了した方の中には、生協での委員会活動があるときにアイスブレイクとして習った内容を実践してみたり、近所の人が集まる集いの場でみんなで体操をしたりと、この場で得た知識を生かしてさらなる繋がりを構築しているようです。この話を聞いたときはとても嬉しかったです。

 

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——活動する中で、松井さんが大変だなと感じたことはありましたか。

 

人材育成に加え、楽しくやってもらうというのが難しかったです。というのも、ここに参加される方は、今後健康づくりを広めることも目的としているからです。この方達が今後関わる人のことも見据えながら伝える、というのはとても難しかったです。

私がこれまで理学療法士として現場で働く中で行ってきたのは、目の前に方に“教える・伝える・治療する”ことでした。しかし、ここでは “健康・地域づくりの担い手を育てる” という目的に変わります。サポーターとして続けていくためには、必要性はもちろんのこと、楽しさとかやりがいも伝えなければなりません。そういった点で、これまでとは違う責任感を感じ、最初は上手く伝えられるか悩む時期もありました。

 

——活動する中で感じた、やりがいや面白さについて教えてください。

 

いわゆる “元気な人” が増えていくのが純粋に嬉しいですね。受講者の方から「私これやってみようかしら」と前向きな発言が多く聞かれたのが嬉しかったです。また、笑いながら話している姿、どんどん声のはりが増えてきている様子、表情が明るくなるなど、アンケートではわからない反応が見ることができて嬉しかったです。こういった、一見小さな変化が実は大きなことにつながっていくと私は信じています。

身体が弱ってきた方が地域で運動をするというと、デイサービスなど専門家のいる施設でしかできないと思われているケースが多いです。私自身も、これまでは保険内のサービスしか提供したことがありませんでした。しかし、この取り組みは地域住民を育成することで保険外での提供が可能となり気軽に受けられるようになります。さらには地域の方々との繋がりのなかで育まれるので、とても素晴らしいことだと思います。

その活動を任してもらっていることに責任を感じつつも、頑張らなくちゃいけないな、とやりがいを持って向き合えています。

 

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田舎暮らしで感じた互助の仕組み

——この一年間を振り返り、新天地での暮らしや働き方といった側面で徐々に変化していったことや新たな発見があれば教えてください。

 

1年前と比べると、単純に人との出会いが増えました。地域の人や保険外の活動を通して出会った人、病院の方や生協さん、ランニング中に出会うおじさんとか。神奈川ではなかった多くの出会いがあり、会話も自然とできるようになりました。温かい人が多いなという印象で、話しかけてもらってとても嬉しかったです。地域自体に人を受け入れる文化があり、住民同士の繋がりも濃いというのも、養成講座がうまく進んでいる秘訣かもしれません。

私自身の暮らしについては、神奈川の都会から田舎に来たので、最初は感覚の違いなどで戸惑うこともありました。特に、移動といった点では全く違って、こちらは車がないと生活できないのがショッキングでした。駅まで歩く、という感覚はなくなりましたね。

 こちらの人が車という移動手段をなくした時に、生きていけないというのがよく分かりました。だから、皆さんギリギリまで運転する方が多いですよね。しかし、高齢の方の寿命も伸びていく中で、今後その人達の移動手段はどうなるのだろうかと気になります。おそらく家族と住んでいる人は家族に、一人暮らしの方は近所と交流しながら助け合って生きているのかなとは思いますが、こういったところからも田舎の方がより人(家族や住民)同士の繋がりが強くなる由縁を感じました。都会は個で生きていける環境、自立できるハードがあるので。このように、環境によりその土地の文化ができていくことを学びました。

 

多職種だからこそ見える新たな視点

——りぷらすでの働き方や環境を通して、変化したことがあれば教えてください。

1週間のうち、登米と石巻の2カ所で仕事をしているのですが、同じ宮城でも地域の違いを感じることができて面白いです。同じデイサービスでも、地域で利用する方々の特徴が違ってくるんですよね。

また、多職種の方と働いているので様々な視点を知ることができ学びになっています。今までは病院の中でリハビリスタッフとしか関わらなかったのですが、りぷらすでは介護職や今まで介護経験がなかった人との交流があります。専門職には見えない視点をもらえることで非常に刺激になっています。例えば、「〇〇さんズボンを逆に履いてるんだけど、この間もなかった?」という会話や、「送迎で家にいったときに〜〜っていっていたよ」など、暮らしの中にある情報を沢山くださいます。私自身も、そのような情報を大事にピックアップするようになりました。なので、視点や考え方はこの一年でだいぶ変わったと思います。

私はこれまで、専門職として“生活をみる”といってきましたが、りぷらすで働くまでは、実はどうやって良いのか詳しくは分かっていませんでした。しかし、りぷらすで働くスタッフの方々の関わり方やコミュニティへの入り方を見て、こんなふうにすれば上手くいくんだ、と視野がとても広がりました。

神奈川から移住してすぐの時は、言葉の使い方、頼み方、選び方、ニュアンスの違いに悩まされました。「言葉が丁寧すぎる」って言われることもあって(笑)田舎と都会の距離感の違いにはまだまだ悩みますし勉強中ですが、これからも日々成長と思い様々なことに前向きに取り組んでいきたいと思っています。

 

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以上、本日は昨年6月から一般社団法人りぷらすで働かれている理学療法士の松井遥さんにお話を伺いました。松井さんの今後のさらなるご活躍を心より楽しみにしています。


【取材・文・撮影=河村由実子】

私たちは、その人の可能性に全力チャレンジします。

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りぷらすは、創業期、成長期を経て、現在は変革期にあたります。
若く新しいメンバーが、主体的に活躍しています。

そこで、今回新たにそれぞれの仕事や役割を考え、話し合う機会をつくるため、7月17日に、りぷらすの全体研修会を行いました。
(気を抜くと、その人らしさよりも、職種や職業だけが、その人の役割となってしまうので要注意。)

当日は、りぷらすの創業時からお世話になっている、社会福祉士の真壁さんにファシリテーターとなって頂きました。

そこで、職員個々の役割を振り返り、大切な想いや価値観を言葉として抽出していきました。

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そして、最終的に出てきた文章が、冒頭の文章です。
他にも、素敵な文章が紡がれました。

「私たちは、余白のある楽しい人生を送ります」

「私たちは、つながりを大切にし、色々な可能性にチャレンジする仲間」

 

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今後さらに、日々を積み重ねながら、対話を深め、さらに言葉を磨いています。

自分にとって、大切な言葉や価値観を、自分たちで決めていく。

働き方も、価値観も、一緒に働く自分たちで考え、決めていく。
りぷらすは、そんな組織でありたいし、そうなれるように変革中です。

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人も組織も生き物なので、変化しながら、適応し、また変化していきます。
そのため、その時々で、役割や認識はどんどん変わっていきます。
再度ワークをする時がとっても楽しみです。

このような働き方や考え方を面白いと思うメンバーを募集しています。
りぷらすでは、現在新たな取り組みを進めるべく、一緒に活動する方を探しています。

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参加希望される方は、下記よりお申し込み頂けます。

りぷらす meet up

 

 

Fw:東北 Fan Meeting (フォワード東北 ファンミーティング)に登壇します

復興庁が主催する本イベントに代表の橋本が参加します。

特定非営利活動法人ReMind 代表理事で理学療法士の河合麻美さんと
ご一緒させていただきます。

https://www.facebook.com/fwtohoku/posts/911008552781523

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昨年度、弊社に入職した理学療法士が、初めて弊社と出会ったのが、2019年のFw:東北 Fan Meetingでした。

 

下記、Fw:東北 Fan Meetingより引用

【7/30(金)開催回 登壇者ご紹介】
●橋本大吾さん(一般社団法人りぷらす 代表理事/理学療法士)
●河合麻美さん(特定非営利活動法人ReMind 代表理事/理学療法士)
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Fw:東北FanMeeting、今年度のスタートは「特別編」として、過去のFw:東北Weekly/FanMeetingに登壇いただいたゲストの方によるリピート登壇回です。

第1弾は、2019年にご登壇いただいた一般社団法人りぷらすの代表理事、理学療法士の橋本大吾さん(写真左)です。


宮城県石巻市を中心とした活動をお話しいただいた前回のご登壇(東京開催)では、参加者の中から、橋本さんのもとへ移住、転職をされた方もいらしたそうです。ご自身も復興活動から石巻へ移住し、地域に飛び込んでいった橋本さんの活動は、その後、どのように発展しているのでしょうか。


また、今年度は、東北3県(岩手・宮城・岩手)以外の地域からもゲストを迎え、東北で培われた経験知を軸に登壇者同士のトークも行います。

今回、橋本さんとご一緒いただくのは、埼玉県の特定非営利活動法人ReMindの代表理事で、同じく理学療法士の河合麻美さん(写真右)です。

河合さんは、誰もが安心して暮らせる包含社会を目指して、地域で新しいアプローチを進めている方で、埼玉県主催のビジネスプランコンテストでも受賞経験があり、社会課題の解決に挑む起業家としても注目を浴びています。

健康を軸とした地域コミュニティづくりが、災害などの社会の危機にどのような役割を果たすのか。この投稿をご覧いただいているみなさんとも、一緒に考えていただければ幸いです。 

参加申込先はこちらのようです。

 

replus.hatenablog.jp

 

大正大学出版会『地域人 』掲載のお知らせ

地域人第71号「地方で起業する」に、
NPO法人ETIC.代表理事の宮城さんのインタビューページ(P57)にて、弊社の取り組みが掲載されました。

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福岡県うきは市で「ばあちゃん食堂」を経営する大熊さんのインタビューや、
長野県東根御市の「パンと日用品のお店」を経営する平田さんなど、
見どころが満載です。